こんにちは!スポーチューバーTV、野球技術担当の下です。

今回のコラム&動画では「バットの軌道」についてお伝えしていきます。

よく野球の指導では「最短距離で振れ!」という事が言われます。

ひと昔前までそれはごくごく当たり前の事として、野球指導の定石の様に言われてきました。

しかしここ数年、インターネットの発達やデバイスの発達により、プロ選手や自身のバッティングフォームを見る機会が増えてきました。

こうした背景もあり「最短距離で振る」=最適なスイングではないという事が今では当たり前になりました。

最短=最速ではない

まず最短距離が最適でない理由の一つとしては、そのスイング軌道が最速にならないという事があります。

最短距離ではスイングの距離が一番短いので、ボールへの到達(コンタクト)は確かに速くなる可能性があります。(距離が短いので早く到達する)

しかし、サイクロイド曲線という観点からみると、スイングは曲線を描いた方が最速になります。

バッティングでは、最短時間で到達した=最速のスイングであるという図式は成り立ちません。

距離がある程度あった方がスイングの加速度はあがります。

物理の法則では、力=質量×加速度で求めらます。

私たちの空間は3次元であり、物理の法則にしたがって日々生活をしています。

質量の部分は自分の体重やバットの重さが関わってきますが、すぐに変えられるものではありません。

なので大切なのは、加速度の観点です。

いかにフォームを効率化していくのもスイングスピードをあげる事です。

言い換えると加速度をあげていく事で力をあげていきます。

サイクロイド曲線だけでは、バッティングのすべてを説明する事はできませんが、物理法則の話に加えて最短スイングが合理的でない事説明には十分かと思います。

最短=ダウンスイングになりやすい

先ほどは加速度の観点から説明をしていきました。

次はスイングの軌道の観点から説明をしていきたいと思います。

最短距離のスイングというと、三角形の長辺のイメージになるかと思います。

仮に最短距離でスイングを行なった場合は、スイングの方向はやや地面向きに向かっているはずです。

そうすると、スイング軌道はダウンスイングになっているはずです。

ボールは重力等々の関係でやや下げて投られます。

力を効率的にボールへ伝えるには、ダウンスイングではボールの下側にあたり、偏心してバットとボールが衝突します。

基本的にはボールの軌道に合わせて中心衝突した方が、効率的に力がボールに伝わります。
(完全に中心に中心衝突すると打ったボールは無回転になるのでやや下を打つのが最適)

このスイング軌道の観点からも、「最短でスイングする」という事は合理的ではないと言えると思います。

常識は変わる

昔では当たり前とされていた事でも、進歩ともに技術論や方法論は変わってきます。

  • 昔やっていたから
  • なんとなくそう言われているから
  • それが当たり前だから

など定石や常識とされていた事も大きく変わってきています。

もちろん私たちの話もこれからまた変わっていく事でしょう。

プレイヤーや指導者は当たり前の事でも、常にブラッシュアップしアップデートする事が大切ですね。

動画ではより詳細な説明をしています。

あわせてご覧ください。

この動画が皆さまの為になれば幸いです。