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スポチューバーTV管理栄養士のはるみ先生です。

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タイトル 油について【応用編】

今日のテーマは『油について【応用編】』です。

メニュー
  1. 油の構造
  2. 脂肪酸の種類と特徴
  3. 脂質のバランスについて
  4. オメガ3の使い方と保存方法
  5. 中鎖脂肪酸を上手く使おう
  6. レシピ紹介

前回の【基礎編】では油の基本的な知識をお話ししましたが、今日はそれを応用して、より具体的な栄養学をご紹介します。

今日のテーマは『質の良い油の選び方と使い方』です。

油の構造

脂質は主に、グリセリンと3つの脂肪酸で構成されています。

食品の油も同じ構成をしており、油の種類は脂肪酸の種類の違いによって分けられています。

油の構造

グリセリンは、保湿効果がある天然成分です。

食品の他に、化粧品に添加する保湿剤としても使われています。

脂肪酸は「炭素」と「水素」が鎖状につながっている構成をしています。

そして「鎖の長さ(数)」と「鎖の結合の仕方」によって脂肪酸の種類が分けられます。

油の構造

脂肪酸の種類と特徴

油は、脂肪酸の鎖の結合が一重か二重かで、大きく性質が異なります。

分子の鎖が一重の状態になっているのが「飽和脂肪酸」、二重になっているのが「不飽和脂肪酸」です。

脂肪酸の種類と特徴

さらに不飽和脂肪酸の中でも2種類に分類されます。

二重結合している部分が1箇所の脂肪酸を「一価不飽和脂肪酸」

2箇所以上のものを「多価不飽和脂肪酸」といいます。

飽和脂肪酸

それでは、飽和脂肪酸の特徴からお話していきます。

飽和脂肪酸は、主に動物性食品に多く含まれます。

例えば、バターやラード、牛肉、乳製品などです。

また、植物性の食品では、ココナッツオイル、パーム油に豊富に含まれています。

これらの飽和脂肪酸の油は常温で固体状態を保つという特徴があります。

例えば、バターやラードなどの動物性の油は、室温で長時間放置しても液体化しませんよね。

こういった特徴のある油は「熱に強く、熱を加えても酸化や変性が起こりづらい」です。

そのため、「加熱調理にも強い油」とも言えます。

不飽和脂肪酸

一方で不飽和脂肪酸は、主に魚や植物油に豊富に含まれています。

例えば、魚やオリーブオイル、ナッツ類などに多く含まれています。

これらの不飽和脂肪酸の油は常温で液体状態を保つという特徴があります。

脂肪酸の種類と特徴

このような特徴は、「空気に触れると酸素と結びつき酸化し、熱を加えると変性しやすい」ことでもあります。

先ほどの脂肪酸の構造で、不飽和脂肪酸の鎖は二重になっているとお話しましたが、二重結合の箇所が多い油ほど酸化や変性反応は進みやすく、加熱調理には向いていません

空気に触れたり、加熱することは油の質を悪くし、油が古くなった時の味や悪臭の原因になります。

一価不飽和脂肪酸

一価不飽和脂肪酸は、n-9系とも呼ばれる油です。

オリーブオイル、米油、アボカドやナッツ類などに多く含まれている脂肪酸です。

代表的なものとして、オリーブオイルに多く含まれる「オレイン酸」という脂肪酸が良く知られているのではないでしょうか。

心臓病のリスクを減らし、コレステロール値を改善する効果があるとされています。

一価不飽和脂肪酸は、二重結合している箇所が1箇所だけの構造をしています。

熱に弱く酸化しやすい不飽和脂肪酸ですが、
一価不飽和脂肪酸は二重結合の箇所が一箇所だけのため、比較的酸化しにくいことが特徴です。

調理に適しており加熱調理や揚げ物に使う油は、ごま油や大豆油ではなく、オリーブオイルや米油を使う事がオススメです。

脂肪酸の種類と特徴

多価不飽和脂肪酸

多価不飽和脂肪酸は身体の中で作ることができない必須脂肪酸です。

この脂肪酸は、二重結合を2箇所以上持つ構造のため、非常に酸化しやすい特徴があります。

脂肪酸の種類と特徴

食べる際には酸化していないかに気をつけましょう!

基礎編でも紹介しましたが、魚の干物の表面の油は酸化しています。

酸化した油を摂取すると、体内での炎症を広げる原因にもなります。

表面の酸化した油を取り除くには、50度洗いがオススメです。

こちらの動画を参考にして、普段の調理に活かしてみてください!

オメガ6とオメガ3

多価不飽和脂肪酸は、さらに「オメガ3(n-3系)」と「オメガ6(n-6系)」の2種類に分けられます。

オメガ6は、免疫を高め病原菌と戦う働きを高めてくれる効果があります。

しかし摂り過ぎると免疫機能が過剰になり、炎症を広げるリスクがあります。

脂肪酸の種類と特徴

オメガ6は主にごま油やコーン油、大豆油などの植物油に多く含まれています。

お惣菜や冷凍食品、レトルト食品、お菓子はこれらの植物油が使われており、摂り過ぎの傾向があります。

できるだけ食事は手作りすることが理想です。

まずは、甘いものが食べたくなったら、お菓子ではなく果物を食べてみることから始めてみてはどうでしょうか?

次にオメガ3についてです。

オメガ3は主にアマニ油やえごま油、魚に豊富に含まれています。

オメガ3は免疫の過剰反応を抑える働きがあります。

オメガ6の「免疫機能を高める作用」とオメガ3の「免疫の過剰な反応を抑える作用」

これらのバランスは、正常な免疫機能を保つためにはとっても重要です。

オメガ6とは反対に、オメガ3は現代人に不足しがちな脂肪酸とされています。

オメガ3の代表的な成分である「α-リノレン酸」「EPA」や「DHA」は、それぞれ健康に良い効果があります。

  • EPA: 赤血球を柔らかくし、血液粘度を下げ、血液をサラサラにする。
  • DHA: 記憶や学習能力を向上させる。神経や脳が発達段階の子供達には特に必要な成分です。
  • α-リノレン酸: 心臓病のリスクの減少、抗炎症効果。

α-リノレン酸は亜麻仁油やえごま油に豊富に含まれており、EPAやDHAはに多く含まれています。

脂肪酸の種類と特徴

この3つの脂肪酸は二重結合の箇所が複数あり、
α-リノレン酸は3つ、EPAは5つ、DHAは6つあります。

先ほど、二重結合の箇所が多ければ多いほど、熱に弱く酸化しやすくなるとお話しましたね。

ということは、オメガ3は他の脂肪酸よりも特に酸化をしやすく、温度や他の物質などによって反応や変化を起こしやすいのです。

また酵素の働きにより、α-リノレン酸からEPAやDHAを体内で変換することもできるとされています。

しかし最近の研究で、変換率は10%前後しかないことがわかりました。

α-リノレン酸からEPAやDHAを変換できるとしても、これではほとんどできていませんね。

やはり魚を食べることが、EPAやDHAを一番効率良く摂取できるということです!

短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸

脂肪酸の種類の最後に、短鎖・中鎖・長鎖脂肪酸について説明します。

字面で見ると少し難しく感じるかもしれませんが、その名の通り、鎖の長さが「短い・中くらい・長い」脂肪酸のことを指しています。

短鎖脂肪酸は、炭素と水素の鎖が6個以下の脂肪酸を指します。

腸内細菌によって作られる脂肪酸で、腸内環境の改善や免疫力向上をサポートする働きがあります。

中鎖脂肪酸は、鎖が10個以下の脂肪酸を指します。

主に、乳製品、ココナッツオイルに豊富に含まれています。

消化吸収が速く、エネルギー源になりやすいことが特徴です。

吸収が速く、すぐエネルギーに変換されるので、ジュニアアスリートの補食や試合前の食事にピッタリな脂肪酸です。

脂肪酸の種類と特徴

乳製品やココナッツオイルが苦手な方には「MCTオイル」で補うと良いでしょう。

MCTオイルは、ココナッツオイルから不純物や中鎖脂肪酸以外の油を取り除き、作られています。

ココナッツ特有の癖はなく手軽に中鎖脂肪酸が摂取できる便利な油です。

最後に、長鎖脂肪酸です。

鎖の数が11個以上の脂肪酸を指し、消化吸収に時間がかかる油です。

主に肉類に多く含まれる飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸の全てです。

消化吸収に時間がかかり、運動中のエネルギー源になりにくい油です。

練習・試合前などには、大量に摂ることは控えておきましょう。

脂肪酸の種類と特徴

脂質のバランスについて

これまで脂肪酸の種類を紹介しましたが、それぞれをバランス良く摂取することが何よりも大切です。

「飽和脂肪酸 と 一価不飽和脂肪酸 と 多価不飽和脂肪酸」の比率が「3:4:3」になるように摂取することが理想とされています。

さらに多価不飽和脂肪酸であるオメガ3とオメガ6は「1:4」の比率が良いとされています。

しかし、この比率を考えながら食事をするのは、とっても難しいです。

そこでさまざまな食品をバランスよく摂ることを意識して食事をしてみてください。

脂肪酸の種類と特徴

食品に含まれている脂質は、1種類の油だけではなくいくつかの種類の油で構成されています。

植物性の食品にも飽和脂肪酸が含まれていますし、動物性の食品にも不飽和脂肪酸が含まれています。

しかし、その割合は異なり、その上不足しがちなオメガ3はほとんど入っていません。

オメガ3は魚から摂るのが効率的です。

脂肪酸の種類と特徴

現代人は肉を食べる機会が多く、魚を食べる機会は減っています

また、レトルト食品やコンビニ弁当などのお惣菜にはオメガ6が多く含まれています。

これでは、オメガ3の油が不足し、バランスの良い食事とは言えませんね。

「さまざまな食品をバランスよく摂る」ためには、まず、普段調理で使用する油はオリーブオイルや米油にしましょう。

そして「魚を食べる習慣」と「主食・主菜・副菜」を揃える意識をしてみましょう。

魚を食べる場合の一食の目安は、

  • イワシ 2尾
  • サバの干物 半身
  • サンマ 1尾

これだけで、バランスの良い食事に近づきます。

脂肪酸の種類と特徴

基礎編で詳しくお話ししているので、まだ見ていない方はぜひ基礎編も併せてご覧ください。

オメガ3の使い方と保存方法

多価不飽和脂肪酸は酸化しやすいため、使用方法と保存方法に注意が必要です。

油の中でも、オメガ3は特に加熱料理には向いていません。

使用する際は、サラダなどの生食、スープに後入れするのがオススメです。

また、魚の干物や切り身を食べる際は、表面の酸化した油を50度洗いで取り除きましょう。

酸化したオメガ3系の油を摂取すると、体に炎症をひろげてしまいます。

オメガ3の使い方と保存方法

オメガ3を豊富に含むアマニ油やえごま油は、暗く涼しい場所に保管し、開封後は早めに使用しましょう。

品質を保つには、油を直射日光や高温から遠ざけ、空気に触れさせないようにすることが重要です。

中鎖脂肪酸を上手く使おう

中鎖脂肪酸は、直接肝臓に送られて他の脂肪よりも消化吸収が早く、エネルギーに変換されます。

そのため、脂肪として体内に蓄積されにくい特徴があります。

中鎖脂肪酸を上手く使おう

素早くエネルギー源となるので、特に痩せ型の選手にとってもオススメです。

MCTオイル小さじ1杯をスープにかけて食べると簡単に摂取できます。

ただ、MCTオイルは純度が高いため加熱すると発火する可能性があります。

必ず、加熱せずに摂取しましょう。

次回のテーマは「魚を食べよう」です。

魚に含まれるオメガ3は、アスリートの健康維持に不可欠です。

皆さん、健康的な油の摂取を意識して、活力ある毎日を送りましょう!

今回使用したテキストはこちらからダウンロードできます

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