こんにちは!千葉と大阪を拠点に、コンディショニングコーチとして活動している、三浦佳祐(みうらけいすけ)です。

前回は打撲の初期対応について解説させて頂きました。

今回は、頭付近に接触が生じた場合に考えなければならない、「脳震盪」のリスクとその対応について解説させて頂きます。

頻繁に起こるものではありませんが、命にも関わることになるので、初期対応は慎重かつ迅速に進められるようにしたいですね。

今回も現場レベルでの対応についてお話しさせて頂きます。

目次
  1. 脳震盪とは
    • 実際はどういった症状なのか
  2. 脳震盪の疑いがある場合は?
    • まずは状態を確認しよう!(グラウンド内)
    • まずは状態を確認しよう!(グラウンド外)
  3. まとめ

脳震盪とは

ボクシングなどの格闘技、ラグビーやアメフトなどのコンタクトスポーツでは、頭部への打撃を受ける可能性が高いため、野球などに比べると頻繁に起こります。

良く、「頭がクラクラする」という訴えや「記憶が飛んだ」という訴えをするのを聞いたことがあると思います。

実際はどういった症状なのか

脳震盪は、頭部に外力が加わった際に時に生じる、意識障害、記憶障害のことを言います。(ただ、脳事態が損傷を起こしているわけではないため、起きた障害はしばらくすると元に戻ります。)

つまり、頭をぶつけたりして、質問の受け答えがおかしかったり、頭がぼーっとしていたり、記憶が曖昧だったりしたら、その時点で脳震盪を起こしているのです。

また、意識があっても、頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などが起きることが多いです。

意識は数秒程度で戻ることが多いのですが、5分以上意識が戻らない場合もあり、これは非常に危険な状態となるので、すぐに病院に搬送しないといけません。

脳震盪の疑いがある場合は?

まずは状態を確認しよう!(グラウンド内)

頭部をぶつけた、頭部付近から地面に落ちた、頭部を押さえている、こういった場合は、まず何よりも迅速に駆けつけてください。
そして、意識を確認します。

そこまで多くはないですが、こちらの応答にも全く反応できず、意識を失っているケースも存在します。

そうなった場合は、脳震盪のみならず、意識消失、心肺停止となるリスクもありますので、一刻も早く、救助できる人を要請し、救急車やAEDの手配を行います。

こちらは、日本赤十字社が、一般の方にも分かりやすいガイドラインを掲載しているので、合わせてご覧ください。

意識はあるけど朦朧としていたり、記憶が曖昧になっているケース

今回は、意識があるけど朦朧としていたり、記憶が曖昧になっているケースについてです。

まずは捻挫や打撲の時と同じように、

  • 痛がり方(普通に会話できるか)
  • どのようにぶつかったか覚えているか?(見ていたか?)
  • どの辺りが痛いか?
  • 変形や腫れ、変色や出血などがないか?(見える範囲で)
  • 動けるか?

といった情報は確認します。

ただ、頭を強く打ち付けている場合は、頸部(首)の怪我をしている可能性もあるので、無理に動かさず、寝ているのであればその状態で確認をしていきます。

打ち付け具合が大きいなど、場合によってはこちらが頭部を固定しないといけないケースも出てきます。

この辺りは、今回の動画も一緒に見て頂けると幸いです。

ゆっくり動けるようであれば、必ずグラウンドの外に出して確認をします。

まずは状態を確認しよう!(グラウンド外)

グラウンドの外では、改めて状態を確認します。

この時点では、普通に歩けることが多いのですが、記憶が飛んでいることが多いです。

ここで、スポーツ現場で多く用いられるガイドラインをご紹介させて頂きます。

今回の動画と合わせて、是非参考にしてみてください。

脳震盪が疑われる時のガイドライン

脳震盪などが疑われる場合は「即刻競技を中止する」が原則です。

SCAT3という脳震盪の評価テストツールもあり、医療従事者専用ですが、分かりやすく記載されています。

※実際の現場では専門家がいないことがほとんどだと思います。

脳震盪が疑われる場合、「どうやって処置して試合に出るか」ではなく、「原則競技を中止する」ことが大事になります。

選手の症状に異変が出た場合は、すぐに病院に連れて行くことを強くお薦めします。

上記のガイドラインに、当日以降のことも書いていますが、軽傷でも1週間ほどは安静に様子を見た方が良いです。

医師の指示を仰いだ上で、絶対に無理をさせないようにしましょう。

まとめ

  • 脳震盪は命に関わる重篤な症状ということを理解しよう
  • 本人が動けても、安静にさせることが非常に重要

次回は、これからの時期に多く起こる、熱中症についてです。